イタリア映画の巨匠 ルキノ・ヴィスコンティの世界

いまだに世代を超えて愛される、イタリア映画の巨匠
「ルキノ・ヴィスコンティ」。
名門貴族出身の監督は、耽美的な世界を西洋絵画のような
美しさで、人の根本に関わる普遍的なテーマを描きました。
今の世界の映画にも大きな影響を与えています。
「ルキノ・ヴィスコンティ」。
名門貴族出身の監督は、耽美的な世界を西洋絵画のような
美しさで、人の根本に関わる普遍的なテーマを描きました。
今の世界の映画にも大きな影響を与えています。
イタリアでも名門の貴族に出身の映画作家
ヴィスコンティは、イタリアでも名門の貴族に生まれたため、貴族的な映画作家と評されることが多いです。
没落する貴族の悲しみや、耽美的な世界をテーマにしています。
ですがヴィスコンティは、彼にしか描けないないような貴族的な世界を撮りながらも、自分の生まれた階級に対して葛藤を持っていて否定的な面も描いています。
「山猫」('63)では、古きよき貴族の生活とその愚かさ
「山猫」('63)では、古きよき時代の優雅な貴族の生活を描くとともに、伝統や格式にとらわれる愚かさを表現。
彼だ からこそ忠実に再現できたヨーロッパ貴族の美の世界は圧巻です。
名作「夏の嵐」('54)では、愛と憎悪の葛藤を描く

しだいに彼の作品は「生まれながらの階級に対する葛藤」といったテーマから、「愛と憎悪の葛藤」「堕ちていく姿」という普遍的なテーマに移っていきます。
名作「夏の嵐」では、ヒロインの伯爵夫人リヴィアは、支配者であるオーストリア軍青年士官への激しい情欲と、憎悪の間で揺れ動きます。
愛と憎悪の間で葛藤する姿が描かれます。
代表作「ベニスに死す」('71)

代表作「ベニスに死す」では、美とはなにか、老いとはなにかというテーマが、これ以上にない美しさで語られます。
映画史に残る名作です。
マーラーの五番が耽美的に流れ、ヴェネツィアの美しい海岸や、今では見られないような貴族的な豪華絢爛なホテルを舞台に、物語が繰り広げられます。
原作者トーマス・マンの老作家が美少年に憧れ身を滅ぼすという、残酷な愛の物語りです。
どの世代が見ても、「若者の輝きの貴重さ」が心に残る一作です。
さらに ヴィスコンティの映画と精神世界について知りたいかたは、下記をおすすめします。
若菜 薫 氏 著者『ヴィスコンティⅡ─高貴なる錯乱のイマージュ』(鳥影社 2006年)
www.choeisha.com/movie.html
また、ヴィスコンティ、タルコフスキー、アンゲロプロス等の映画芸術と谷崎潤一郎に関する本を出している著者が解明する、荷風散人もぜひご一読ください。
荷風散人 芸術としての孤独
www.choeisha.com/pub/books/54892.html
永井荷風の人生と芸術を貫く「孤独」。
その本質に迫りました。荷風の孤独を論じ、彼の孤独が他者の孤独とどのように異なっているかを、
可能な限り明確化。