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ギリシャ出身の映画監督「テオ・アンゲロプロス」の魅力

一口に映画監督と言っても、数多くの監督が輩出されていることは言うまでもありませんが、ギリシャ出身のテオ・アンゲロプロスは間違いなく映画史に残る名監督の1人だと言えるでしょう。

兵役後にパリにあるソルボンヌ大学で文学を、フランス国立高等映画学院で映画製作を学んだテオ・アンゲロプロスはギリシャにて
映画評論家として活動を始めます。

その後、映画監督としてデビューした彼は、いつしかギリシャを
代表する監督
と称されるようになりました。


晩年は「巨匠」と呼ばれていたものの、テオ・アンゲロプロスの魅力は「巨匠」という言葉で括るだけでは説明不十分だと
言えるでしょう。

今回は映画監督「テオ・アンゲロプロス」が放つ魅力を作品とともに紹介していきたいと思います。

1975年公開『旅芸人の記録』

テオ・アンゲロプロスが長編映画監督としてデビューしてから数年で作り上げた作品。

この作品は、私たちが持つポジティブなギリシャ観を破壊する内容となっています。

1939年から1952年までの13年間、ギリシャが最も混乱に陥っていた時期にスポットを当てたもの。
暗黒期ともいえるこの時代を、旅芸人の視点から語っていきます。


「現代ギリシャ市と風景を横断する旅」がテーマである同作品は、時系列ではなく、複層的に進行していくもの。
ギリシャ神話に出てくる神の名を映画に登場させ、ギリシャ神話・現代ギリシャの悲劇を映画として発表しています。

この映画作品はテオ・アンゲロプロスが監督した「現代史三部作」の1つとされているのですが、軍事政権下にあったギリシャに対する反逆とも思えるラディカルな内容でした。

しかし、この現代史三部作は世界中で高く評価され、テオ・アンゲロプロスに名声をもたらした作品となったのです。

1988年公開『永遠と一日』

ギリシャの港町テッサロニキを舞台に、現在・過去・未来、現実・旅・夢を描いた作品です。

内容は重病を患った詩人・アレクサンドロスの最期の1日を描写しています。

アレクサンドロスはあらゆる場面で在りし日の記憶を脳裏に蘇らせながらその時を待つのですが、その最中、難民の少年と出会うことで物語は進行されていくのです。

たった1日だけの交流ですが、彼はこの時に少年と人生を旅します。
人生について語った同作品は、テオ・アンゲロプロスが実際に人身売買を目の当たりにしたことから着想したそうです。

人生とは生まれることで始まり、死ぬことで終わりを迎える。
このような価値観が多い中、彼は「死は人生の一部」という価値観を描写しています。

現代史三部作当時では既存のものではない、全く新しいスタイルの確立を目指していたのですが、映画監督として確立してしまったため、巨匠と称されるようになっていきました。

これは映画監督として誉れ高い言葉でありますが、芸術家としての感情は複雑なのではないでしょうか。

20世紀三部作の途中で交通事故によって急逝してしまったため、彼がこれからどのような作品を世に打ち出していこうと考えていたのか窺い知れません。

しかし、彼の映画作品のように、芸術家から放たれるメッセージを受け止めることで答えを見つけ出そうと模索することは
非常に有意義だと言えるでしょう。

若菜 薫氏著『荷風散人 芸術としての孤独』

www.choeisha.com/pub/books/54892.html

この書籍は永井荷風という作家が描く芸術の本質に描いた作品ですが、著者はテオ・アンゲロプロスの映画芸術への理解に挑んだ経歴を持ちます。


『アンゲロプロスの瞳 ─歴史の叫び、映像の囁き─』

www.choeisha.com/movie.html

彼の著書1冊1冊が新しい思考につながる可能性があるので、テオ・アンゲロプロスを含む多くの芸術家が放つメッセージに触れたい方にオススメの書籍です。
興味がある方はこちらの2冊を読んでみてはいかがでしょうか。
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