ジョージ・マッカイ・ブラウン
George Mackay Brown(1921-1996)
ブラウンは英国の北東に浮かぶオークニー諸島2番目の町ストラムネスに生まれ、生涯のほとんどをその地で過ごし、創作活動を続けた。詩、短篇、小説、エッセイなどそのジャンルは多岐にわたる。
若いころから喫煙や過度の飲酒による不摂生な生活を送り、あげく胸を患って入退院を繰り返し、ついに正業につくことはなかった。30歳直前に、同じオークニー出身のエドウィン・ミュアが学長をしている社会人対象のニューバトル・アビー・カレッジに入学し、ミュア夫妻から創作上の薫陶を受けた。40歳のときカトリックに改宗。エディンバラ大学へと進み、 G. M.ホプキンズについての修士論文を提出。
作品の主題の多くは、 9世紀から13世紀までオークニーを中心に続いたヴァイキング王国の聖マグヌスの生と死を初めとして、オークニーの歴史・風土にかかわる。アイルランドの詩人シェイマス・ヒーニーのことば「彼はすべてをオークニーの針の目を通すことによって変容させる」は、ブラウンの特質を端的に言い表している。
訳者略歴
山田 修(やまだ おさむ)
早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。スコットランドのダンディー大学にて在外研究(1988-89)、スコットランド文学、特にジョージ・マッカイ・ブラウンに関する資料を収集。現在、獨協大学名誉教授。
訳書に『ロバート・バーンズ詩集』(共訳、国文社、2002)、G. M. ブラウン『島に生まれ、島に歌う』(共訳、あるば書房、2003)、同『グリーンヴォー』(共訳、あるば書房、2005)、同『守る時』(あるば書房、2007)など。またH. D. Spear (ed.) George Mackay Brown- A Survey of His Work and a Full Bibliography (The Edwin Mellen Press, 2000)の書誌を担当。