
価格
2860円(税込)
ページ数
380ページ
発行日
2015年11月10日
ISBN
978-4-86265-530-1

ローベルト・ヴァルザー作品集5
盗賊/散文小品集Ⅱ
新本史斉╱F・ヒンターエーダー=エムデ╱若林 恵 訳
- 収録作品〈盗賊、フェリクス場面集、ベルン時代の既刊・未完の散文小品から〉
全五巻完結‼
20世紀の最良の知性に愛読されていた、謎めいた、捉えがたい散文作家の魅力の
掉尾を飾るベルン時代の一巻。
およそ完全に精神力を保持している作家にとってこそそうで
あるように、彼にとって重要だったのは可能な限りの明晰さ
だった、思うに、長篇小説『盗賊』を書いていたとき、彼は、
精神の闇の危機こそ、完全な健康においてはありえぬ明敏な
観察と言語表現を可能にすると、繰り返し感じていたのでは
ないだろうか。(W・G・ゼーバルト)
目次
- 盗賊
- フェリクス場面集
- ベルン時代の既刊・未刊の散文小品から
セザンヌ思考
あつあつのおかゆ
鉛筆書きスケッチ
新年の一頁
ちょっとした敬意
ほか
- ミクログラム
この都市に、いったいどのくらいの人間が住んでいるのかすら知らないけれど
緑蜘蛛
あの頃、ああ、あの頃
ぶらぶらと、つまりは、あてもなく、昨日の午後わたしは
ああ、わたしはここで散文で作文を書いていて
ほか
著者略歴
- ローベルト・ヴァルザー(Robert Walser)
1878-1956年。ドイツ語圏スイスの散文作家。長編小説の他、多数の散文小品・詩・戯曲を発表。1933年にヘリザウの精神療養施設に入所して以降は筆を断ち、1956年のクリスマスの朝、散歩中に心臓発作で死亡。同時代において、カフカ、ベンヤミン、ムージル、ヘッセに愛読されたその作品は、現代では、W・G・ゼーバルト、E・イェリネク、S・ソンタグ、J・M・クッツェー、E・ビラ?マタス、G・アガンベンらの作家、思想家に愛読されている。
訳者略歴
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新本 史斉
1964年広島生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。
現在、津田塾大学国際関係学科准教授。
専門はドイツ語文学、翻訳論。
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フランツ・ヒンターエーダー=エムデ
1958年ドイツ、バイエルン州生まれ。文学博士。
現在、山口大学人文学部教授。
専門は比較文学。
-
若林恵(わかばやし・めぐみ)
東京生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。
現在、東京学芸大学教育学部准教授。
専門はドイツ語圏文学・文化。
著書:『カフカ事典』(共訳、三省堂)
論文:「逃走の物語──マルグリート・バウアの『物語の逃走』について──」(「世界文学」)他。
訳書:『現代スイス短篇集』(分担訳、鳥影社)、『氷河の滴──現代スイス女性作家作品集』(分担訳、鳥影社)他。
