価格
3080円(税込)
ページ数
480ページ
発行日
2016年3月25日
ISBN
978-4-86265-550-9
ファウスト研究序説
田中岩男
- ゲーテと『ファウスト』の魅力を掘り下げる
詩人ゲーテの大作をその内部の想像力の働きにそく して読む。矛盾は矛盾のままに、多様な世界それぞ れが持つ固有な魅力を探り、照らし出す。
目次
- 序 章 『ファウスト』の多層性──「序」にかえて
-
第一章 ファウスト文学に現れた〈飛行〉のモチーフ──『ファウスト』前史
-
第二章 〈飛行〉と悲劇──『ファウスト』悲劇の原型
-
第三章 ファウストと近代の時間──『ファウスト第一部』における「時間」の諸相
-
第四章 ファウストとグレートヒェン──「グレートヒェン悲劇」の本質と意味
- 補論1 道化メフィスト──『ファウスト』における道化的視点の意義
-
第五章 宮廷世界と道化の知恵──『ファウスト第二部』第一幕、「宮廷」の場
-
第六章 神話と自然──ヘレナ劇の誕生
-
第七章 トリックスターの彷徨──「古典的ヴァルプルギスの夜」のホムンクルス
-
補論2 ヘレナ劇はどこで演じられているのか──ヘレナの「現実性」をめぐって
- 第八章 山と海、そして火と水──第四幕の構図
-
第九章 プロメテウスの末裔 悲劇、死、そして救い──第五幕解釈の試み
-
終 章 死と再生、あるいはファウストと自然──ファウストはいかにして救われるのか
著者略歴
- 田中岩男(たなか いわお)
1950年北海道生まれ。
1975年東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程(ドイツ文学専攻)修了。
同年、母校の弘前大学人文学部に採用され、助手、講師、助教授を経て
現在、弘前大学人文学部教授(思想文芸講座)。
著書・論文:
『ゲーテと小説—「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」をよむ』(郁文堂、1999年)
『エルンテ—<北>のゲルマニスティク』(編著、郁文堂、1999年)
『カルポス』(同学社、1995年)に、それぞれ共著者としてゲーテ論。
論文
「<病める王子>の快癒—『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』試論」(『ゲーテ年鑑』第31巻、1989年)により日本ゲーテ賞受賞。