価格
1320円(税込)
ページ数
212ページ
発行日
2016年12月17日
ISBN
978-4-86265-586-8
〝目覚めよ〟と呼ぶ声が聞こえる
片山郷子
- 片山郷子 第六作品集
- 著者は1種1級の視覚障害者です。音声入りパソコンを使って、耳を立てて書きました。
- ◆所収作品の紹介
ベンチのある散歩道:郵便物はポストの入り口へ落とせばよい。落ちたときポトンと音でもすれば、旅へ出た子どもの声を聞いたようにこころが安らぐ。
魂よ われに戻れ:空は白みかけていた。わたしは子猫を探した。猫は3匹とも小さな口からわずかな泡を出して死んでいた。
決まるまで:節分の日「鬼は外、福は内」と小さな声で少しだけ豆を撒いた。だれもいない部屋に声が遠慮がちに流れた。
姉妹:歳月は前にしか開いていない。70年が長かったか短かったか議論しても始まらない。
時のさかい:人の足元には大きな穴があって、それは天空の丸い月がすっぽり入るほどの大きな穴であった。もちろん人はその穴の存在を知らない。
目次
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〝目覚めよ〟と呼ぶ声が聞こえる
ベンチのある散歩道
魂よ われに戻れ
決まるまで
姉 妹
時のさかい
耳を立てて書く(あとがきに代えて)
著者略歴
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片山郷子(かたやま きょうこ)
1937年 東京都新宿区生まれ
60歳代半ば 緑内障 網膜色素変性症を発症
受賞:エッセイ「柿の木」にて第2回小諸藤村文学賞最優秀賞受賞(1995年)
小説「ガーデナーの家族」にて第6回やまなし文学賞佳作受賞(1997年/ペンネーム 清津郷子)
著書:詩集『妥協の産物』
小説集『愛執』
第二作品集『ガーデナーの家族』
第三作品集『水面の底』
第四作品集『もやい舟』
第五作品集『花の川』
エッセイ集『流れる日々の中のわたし」