価格
1980円(税込)
ページ数
300ページ
発行日
2017年2月10日
ISBN
978-4-86265-590-5
書評
図書新聞で紹介
デーブリーンの黙示録 —『November 1918』における破滅の諸相—
粂田 文
- 挫折したドイツ革命を冴えわたる独特の筆致で描いたデーブリーンの大作に挑む研究評論!
数限りない無名の人間たちの生と死が、歴史的に知られた人物たちの大きな革命の歴史に絡みつくことによって生じる世界を「黙示録」というタームを手掛かりにダイナミックに分析する試み。
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本書の狙いは、挫折したドイツ革命を題材とする『一九一八』を二〇世紀の黙示録として読み直すことにある。序章と第一章で、作品の成立と受容について概観し、さらにデーブリーンの歴史主義批判に依拠する歴史叙述や歴史小説に対する姿勢を検証する。第二章では、「黙示録」の世俗化の歴史や言説の推移を踏まえ、それが革命の言説を支えることを念頭におきながら、『一九一八』における語りの技法を分析する。第三章では、「黙示録」が救済の物語として普及してきたことを踏まえ、歴史的カタストロフを生き残る者と生き残れない者の相貌に着目する。
目次
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はじめに
序
第一章 「優れた小説はどれも歴史小説である」
第二章 デーブリーンにおける革命の歴史/物語
第三章 滅びの諸相
第四章 権力の諸相
結び デーブリーンの黙示録
注
参考文献
あとがき
著者略歴
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粂田 文(くめだ・あや)
上智大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻、博士後期課程単位取得退学。文学博士。現在、慶應義塾大学理工学部専任講師。専門はドイツ現代文学。