価格
3080円(税込)
ページ数
218ページ
発行日
2017年2月25日
ISBN
978-4-86265-604-9
断片化する螺旋
─ホーフマンスタールの文学における中心と「中心点」
小野間亮子
- 内在するダイナミズム
ウィーン世紀末文化を代表する一人とされる、作家で詩人のホーフマンスタール。『影のない女』『アンドレーアス』『ナクソス島のアリアドネ』『新しい小説』等を取り上げ、作品内部に現れる相反する要素の相互作用がひきおこすダイナミズムを明らかにし、その見えない中心点を追う、画期的論考。
目次
-
序 論
1 問題設定
2 失われた「中心」から確定不可能な「中心点」へ
3 構成
第一章 円環—名指されえぬ中心—
Ⅰ アラベスク
1 意味からの解放
2 充溢と統一
Ⅱ 二つのメールヒェン
1 意味づけと忘我
2 解けた円環
第二章 螺旋—崩れゆく円—
Ⅰ ホーフマンスタールにおけるフラグメントとは何か
1 テクスト
1—1 再構成
1—2 筋連関の解体
2 研究史
2—1 未完のロマーンとして
2—2 フラグメントとして
Ⅱ 「中心点」
1 円から螺旋へ
2 アンドレーアス
2—1 反復される過去
2—2 静止
2—3 連関
2—4 「中心点」への予感
2—5 螺旋の果てに
第三章 閉じない社交—点と図形—
Ⅰ アフォリズム
1 個と全体
2 編者
Ⅱ 精神的空間
1 「点」と「図形」
2 「決して書かれない主著」
第四章 新しい神話—絶えざる移行—
Ⅰ オペラ・セリアとオペラ・ブッファ
1 原作と改作
2 「作曲家」
Ⅱ 変身
1 記憶と忘却
2 相互作用的なもの
第五章 新しい小説—統合の試みと断片化—
Ⅰ ロマーン
1 統合と反統合
2 新しい構想
Ⅱ 断片化の過程として
1 新しい舞台
2 継続された『アンドレーアス』の登場人物および主題
2—1 マリア/マリキータ
2—2 サクラモゾー
2—3 フェルシェンゲルダー家の歴史
3 新しい登場人物
3—1 町人の妻と悪人
3—2 ヨーゼフ少年
3—3 若いドイツ人
4 終わりと始まり
結 論
あとがき
参考文献
著者略歴
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小野間 亮子(おのま りょうこ)
2012年 東京大学大学院人文社会系研究科を単位取得退学
2013年 博士号取得(文学博士)
現在、東京藝術大学非常勤講師
主な論文:
『二様の「新しい小説」—『袖の下のきかぬ男』から読み解くホーフマンスタールのロマーン論』
(『オーストリア文学』第31号)