価格
1760円(税込)
ページ数
386ページ
発行日
2018年2月15日
ISBN
978-4-86265-658-2
業苦の恋
関口 彰
- 男にとって究極の女とは……。
青春であればこそ二人の詩人は、激烈な恋に命を懸けた。
一人は哀切な思慕の嵐に漂流し続け、
一人は愛恋の狂気に殺意を抱く。
この対照的な恋の実話は、
日記をもとに、織り込まれた詩が
ひとつの舞台を演出し奏でる。
他に三編を収録。
- 愛しい人よ、あなたはこれをどう読むか。
- 自分と彼女の関係は、常にこんな線路を挟んだ位置のようなものだ。それを俺はいつも乗り越えられずに、だらしなくこうして見つめている。もしも俺がこのホームから跳び下り、線路を越えて梨都子のホームへ駆け上がって行ったら、アイツは俺を受け止めるだろうか。狂ったと思って逃げ出すかもしれない。でも行為なんだ。大胆な行動の野蛮さが説得力を持つんだ。
※ ※
「〈妻も狂っている、肉体の精神病者!私もそうなのだ〉神よ、あなたはなぜ狂ったこれらの存在を生み出したのか、人間が、動物が、植物までが狂っているのに。あなたはどうなのだ……あなたはあらゆるものの内に、少しずつ狂いを持って分散してしまったのだ。それが存在だ。この狂いはもはや、誰も理解し得ず戻し得ないものとして続くだろう」(本文より)
目次
-
散華の木
授かりものの李朝
業苦の恋
Ⅰ 窓下の花
Ⅱ ヒースの丘
Ⅲ 赤い登山帽
Ⅳ 氷原の火
Ⅴ 天罰のしずく
Ⅵ 同人誌「碧鈴」
Ⅶ 町医者と宿病
Ⅷ 愛執の闇
Ⅸ 下村の結婚
Ⅹ シーシュポスの拷問
Ⅺ 壮絶な愛恋
Ⅻ 雪の夜
ディス・イズ・ミー
著者略歴
-
関口 彰(せきぐち しょう)
1945年神奈川県生まれ。
明治学院大学卒業後、早稲田大学へ。
卒業後はコピーライターを経て、私立本郷高校教諭となり60才退職。
著書として、
詩集『薔薇の涅槃まで』
『海への道』
『風はアルハンブラに囁いた』
評論『迷乱の果てに・大手拓次評伝』
小説『やがて哀しき生きものたち』
など。