価格
1760円(税込)
ページ数
576ページ
発行日
2018年7月30日
ISBN
978-4-86265-677-3
怪物 腹が一つで背中が二つの
石田隆一
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夕暮れにふと立ち止まり、舗道の肌を踏む靴を眺めたとき、異様な怪物がぬらりと身体から離れて、のっそり歩いてゆくように感じた体験はありませんか? ――おまえは、誰だ?
唇をなぞるリップスティックを中途で止めたとき、そこからにわかな腐食が始まり、自分の顔がすっかり変貌したように感じた経験はありませんか? ――わたしは、誰?
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それは太陽が最も苛烈に降り注ぐ時間に起こった。
都会からやって来た少女が土地の不良少年五人によって凌辱されるという痛ましい事件は、有力者によって隠蔽され、被害者からの訴えもなかった。
だが、六年後、加害者と目されていた少年たちは、次々に不自然な災難に遭う。
二度見舞われる交通事故、入院を余儀なくされる不可解な偏頭痛、不治の難病患者を送り込まれる医療妨害、役所を依願退職に追い込まれる中傷。
被害者の復讐が始まっているのだ。
だが、首謀者とみられた男だけはいっこう姿を現さない。
彼はすでに抹殺されたのか?
目次
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第一篇 鏡の背理
第二篇 海岸健忘症
第三篇 失踪した花嫁
第四篇 ほおずき
第五篇 被害者の復讐が始まっている
第六篇 催眠療法
第七篇 夜 会
第八篇 記憶の島
第九篇 スパイ容疑
第十篇 腹が一つで背中が二つの怪物
第十一篇 再 会
第十二篇 誘 惑
第十三篇 姉 妹
第十四篇 終わらない夏
第十五篇 メガニューラ氏の恋
第十六篇 遠隔操作
第十七篇 煙 草 (指の間に焦げる固有の時間)
初 出
解 説 ─ RYUICHIワールド あるいは楽園への遁走 岩佐倫太郎
著者略歴
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石田 隆一(いしだ りゅういち)
石川県七尾市在住。
ハウステンボス株式会社執行役員、
株式会社加賀屋顧問を経て、
遺書を書くつもりで創作活動に入る。
著書
『怪物 腹が一つで背中が二つの』(鳥影社)
『耳の中で小人が踊っている』(近刊)
『アルミニウムの湖』(近刊)