価格
3025円(税込)
ページ数
422ページ
発行日
2018年10月10日
ISBN
978-4-86265-701-5
三つの国の物語 トーマス・マンと日本人
山口知三
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1920年代から1930年代にかけてのトーマス・マンの受容の様態を、ドイツ、アメリカのそれと比べながら、トーマス・マンの実像との日本における落差を、真正面から、深く、徹底的に論じる。
目次
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まえがき
第一話 ドイツ―一九二〇年代のトーマス・マンをめぐって
序 トーマス・マンが日本に紹介された頃
㈠ 〈時の人〉トーマス・マン
㈡ トーマス・マンの〈転向〉の具体的内実
㈢ 出版直後の『魔の山』批判
㈣ 反『魔の山』派の代表ヨーゼフ・ポンテンとフレドリク・ベーム
㈤ あるインターナショナルな試み
㈥ 栄誉の中の亀裂
第二話 日本―ある集団の形成史を介して見るトーマス・マン受容史
㈠ 枠組の設定
㈡ 藤代禎輔(素人)のこと
㈢ 成瀬清(無極)と第一次世界大戦
㈣ 斎藤茂吉の「民顯」とトーマス・マンの「ドイツ便り」
㈤ 昭和最初期の成瀬無極の文筆活動
第三話 遥かな国ドイツと日本
㈠ ごく私的なまえがき
㈡ ヨセフを求めて―トーマス・マン一九二五~三二
㈢ 同じ頃の日本におけるトーマス・マン像
㈣ 成瀬門下の雑誌『カスタニエン』
㈤ 『カスタニエン』と『コギト』
㈥ 『カスタニエン』と『世界文化』
第四話 ドイツとアメリカ、そして日本
はじめに
㈠ トーマス・マンとエルンスト・ベルトラム
㈡ ヨセフと共に―世界市民と民族主義者
㈢ アメリカへ、そしてベルトラムとの訣別
㈣ ある日本人がベルトラムの弟子になるまで
㈤ ファシスト芳賀檀の誕生
㈥ 芳賀檀のヒトラー批判とトーマス・マン評価
第五話 ヨーロッパからの脱出、そしてアメリカへ
㈠ 一九三六年の島崎藤村(上)
㈡ 一九三六年の島崎藤村(下)
㈢ 日本のさまざまなマン研究者たち
㈣ 三種の評論集『時代の要求』(上)
㈤ 三種の評論集『時代の要求』(下)
著者略歴
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山口知三(やまぐち・ともぞう)
1936年鹿児島県に生まれ。京都大学文学部教授を経て、現在、同大学名誉教授。
著書
『ナチス通りの出版社─ドイツの出版人と作家たち』(共著、人文書院 1989)
『ドイツを追われた人びと─反ナチス亡命者の系譜』(人文書院 1991)
『廃墟をさまよう人びと─戦後ドイツの知的原風景』(人文書院 1996)
『アメリカいう名のファンタジー─近代ドイツ文学とアメリカ』(鳥影社 2006)
など。
訳書
トーマス・マン『非政治的人間の考察』(共訳、筑摩書房 1968-71)
カーチャ・マン『夫トーマス・マンの思い出』(筑摩書房 1975)その他。