価格
1980円(税込)
ページ数
312ページ
-
発売日
2021年3月22日
ISBN
978-4-86265-792-3
小竜の国 —亭林鎮は大騒ぎ
韓 寒 著 柏葉海人 訳
-
望雲の竜、無辺の煙霧を切り裂いて、Kawasakiゼファーが疾走する。
映画化が決定するも、台本の検閲に遭い、未だにクランクインできない問題作!
いま、中国で最も注目されるベストセラー作家、韓寒の第6作! !
- 【作品のあらすじ】
急速な経済発展を遂げる中国、大都市上海の近郊にある町、亭林鎮にもその波が押し寄せるなか、負の影響たる環境汚染も広がりつつあった。ガールフレンドを愛車のバイクに同乗させて走り回っていた左小竜は、町が経済文化振興の一環で開催することになった文化芸術コンクールに、別の意中の人とともに合唱団を組み参加しようと企てる。
-
……泥巴は、たちまちエクスタシーを感じた。左小竜の一歩一歩のステップが、自分のテンポにぴったり一致する。二の句も言わずにゼファーに跨がって、左小竜の腰に抱きついた。春も終わりの風が二人の髪を吹き抜けた。ゼファーは郊外の暖かい毒を含んだ息吹の中を走り回った。化学工場の変な匂いでいっぱいの空気を呼吸しながら、カラフルな河の流れに沿って走り、まっすぐ南に向かった。(本文より)
目次
-
小竜の国 —亭林鎮は大騒ぎ
訳注
亭林鎮 —若者の質問に答える
作品について
作者について
著者略歴
-
韓 寒(ハン・ハン)
1982年9月、上海市金山区亭林鎮亭東村に生まれ。
中学時代から文章を発表し、高校一年時の1999年には第一回新概念作文コンクールで一等を受賞する。
翌年、中学三年時代の生活をモチーフとした小説『三重門』(邦題『上海ビート』)は、発行累積部数が200万部に及び、中国で最近20年間で最大の販売部数を記録する文学作品となる。
まもなく高校を退学し、執筆活動に入る。以後、小説、随筆、散文等を精力的に発表する一方で、プロレーサーとしてサーキットやラリーで活躍を始め、小説、散文、随筆、詩文等をコンスタントに発表する間にレースで数々の優勝を果たす。
また、映画主題曲への作詞の提供や、俳優としていくつかの映画に特別出演する。
2014年には自らシナリオ執筆と監督を務めた映画第一作『后会無期』(邦題『いつか、また』)を発表し、2017年には第二作『乗風破浪 Duckweed』(邦題『あの頃のあなたを今想う』)を制作、公開する。
2019年には、カーレース・シーンを描いたアクション・コメディ『飛馳人生』を公開して大ヒットを飛ばす。本作品は、日本でも同年5月に一般公開(邦題『ペガサス 飛馳人生』)された。
そして2022年2月、第四作となる映画作品『四海 Only Fools Rush In』を公開する。「金鱗は池中のものではない。風雲に遇えば竜と化す」モーターバイク・ライダー阿耀(アーヤオ)は、光を求めてガールフレンドとともに南へ走る。文芸的性格を強めた本作品は、本作『小竜の国ー亭林鎮は大騒ぎ』の続編を想起させ、あるいは表裏一体をなすかのような映像とその収斂する世界に多くの賛辞が寄せられ、同時にさまざまな議論を巻き起こしている。新たな小説の出来を予感させる本作品は、2月10日までに興行収入は5億元(約90億円)に達した。
訳者略歴
-
柏葉海人(かしわば・かいと)
1953 年神奈川県生まれ。
作家、翻訳家。