
価格
1980円(税込)
ページ数
282ページ
発行日
2020年8月13日
ISBN
978-4-86265-824-1

夕陽ヶ丘 —昭和の残光—
徳岡孝夫/土井荘平
- 十五歳にて太平洋戦争の終戦を見た「昭和の子」は何を語り伝えるか
付 三島由紀夫 絶筆の景色
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二人の書いたものの中から先ず戦争中の体験を書いたものを選び、徳岡の数多い作品のなかからは大阪もの、いわば徳岡エッセイ文学大阪篇を選択し、そして拙作のほうは私自身を含む同世代の生きざまを物語った小説や、彼との交情について書いたエッセイを選び、さらにはお互いの喪った妻のこと、生い立ちや家族のこと、また二人が同じ事柄について書いているものなどを収録いたします。(中略)すでに境を異にした多くの同年代の日本人へのレクイエムであり、同時に令和を生きる後輩たちへの一つのメッセージ「伝言」でもあります。(「はじめに」より)
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【ブックレビュー】
ハンドルネーム:石狩発東京経由便
「夕陽ヶ丘」、構成も内容もとても面白く、読み終えるのが惜しく残りの頁を気にしながら、ついに読んでしまいました。共有した時代もありますので、なつかしく、しばらくぼうっと表紙を眺め、いつくしんでおりました。土井さんのものには再読のものもありましたが、一本に納まるとまた新しい光を放つようです。思い出して徳岡さんの「五衰の人ー三島由紀夫私記」を探し出して再読しています。あの日も思い出しながら。
目次
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はじめに─土井荘平
崩御の日「あの夏」の記憶─徳岡孝夫
「海行かば」を唄う (昭和者がたり、ですネン)─土井荘平
同級生の日記─(文責 土井荘平)
染め変えられる過去─徳岡孝夫
昭和二十二年、大阪駅前─徳岡孝夫
昭和二十五年、神戸三宮駅前─土井荘平
曽根崎署の幻─徳岡孝夫
守り袋と動物ビスケ (昭和者がたり、ですネン)─土井荘平
朝子さんのしゃぶしゃぶ─徳岡孝夫
紫陽花 (昭和者がたり、ですネン)─土井荘平
ある「引き継ぎ儀礼」の記憶─徳岡孝夫
優勝戦、奇跡の逆転劇─徳岡孝夫
ライパチ─土井荘平
御先祖様になる話─徳岡孝夫
小あきんど商人 (昭和者がたり、ですネン)─土井荘平
過去へ向かう旅─徳岡孝夫
菩提寺と「白雪姫」─徳岡孝夫
零地点 (昭和者がたり、ですネン)─土井荘平
三島由紀夫と徳岡孝夫と大阪弁─土井荘平
山崎豊子を送る─徳岡孝夫
温顔忘じ難く(久鬼高治、伊藤桂一、森繁久彌諸氏)─土井荘平
森繁さんからの遺言─徳岡孝夫
T君への手紙─土井荘平
故郷に置いてやりたや─徳岡孝夫
題名「夕陽ヶ丘」について─土井荘平
あとがきに代えて─徳岡孝夫
初出雑誌名(年月)
著者略歴
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徳岡孝夫(とくおか たかお)
昭和5年1月 大阪市生まれ
毎日新聞社で社会部、サンデー毎日、英文毎日の記者、編集次長、編集委員などを歴任。
ニューヨーク・タイムズのコラムニストも務めた。
第34回「菊池寛賞」受賞。
著作 「五衰の人ー三島由紀夫私記」(新潮学芸賞受賞)、
「横浜・山手の出来事」 (日本推理作家協会賞受賞)、
「悼友紀行」ほか多数。
訳書 「アイアコッカー我が闘魂の経営」ほか。
土井荘平(どい そうへい)
昭和4年12月 大阪市生まれ
商社勤務、自営業を経て、リタイア後、小説、エッセイなど著述を始める。
「文学街」同人。元「煉瓦」同人。
著作 「青い春、そして今晩秋」(鶴シニア文学大賞受賞)、
「あほちゃうかー関西慕情」、「関西弁アレコレばなし」ほか。
共著 「季刊文科セレクション」、「季刊文科セレクション2」、 「文学街精選作品集」ほか。
注
著者両人は、大阪府立(旧制)北野中学の同級生(昭和22年卒業)。
