価格
3080円(税込)
ページ数
444ページ
発行日
2020年11月25日
ISBN
978-4-86265-844-9
三島由紀夫 その愛と献身という徒爾
三田益可
- 三島由紀夫のあの事件を、小林秀雄は「孤独な事件」と言っている。小林の心を揺さぶった三島の「孤独」とは何だったのであろうか。
- 『仮面の告白』の中に出てくる、「悲劇的なもの」、「「身を挺している」と謂った感じ」という記述には、何か不穏で甘やかな響きがあった。三島由紀夫について考えはじめたきっかけである。三島の真実を知ることは、自分の真実を知ること、もしかしたら、私たちの真実を知ることになるかもしれないという予感があったのだと思う。
小林秀雄をはじめ、三島の作品には〈他者〉がいないとする評者は多い。だが、〈他者〉のいない現実を生きる人はいない。『仮面の告白』、『金閣寺』、『太陽と鉄』、『豊饒の海』の四作品を主たる対象とし、登場人物にとっての〈他者〉がどのように描かれているかを考察することによって、三島の実人生における問題の核心に迫る。
目次
- 第一章 『仮面の告白』論—「告白」というフィクションと「不在」化する「私」—
第二章 『金閣寺』論—〈他者〉と〈言葉〉という「私」の問題—
第三章 三島由紀夫における二元論の克服が意味するもの —『太陽と鉄』を中心に
第四章 三島由紀夫における感情と権威主義的倫理の問題 —『豊饒の海』を中心に
著者略歴
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三田益可(みた ありか)
文学修士(日本文学)
人間科学修士