絵画の前で —物語と詩—
ローベルト・ヴァルザー 著
若林 恵 訳
- 滑脱な精神の印
一枚の絵を前にしてヴァルザーは自由だ。時には簡潔に、時には冗長なまでに語る。またドラクロワやルノワールの絵に触発されて、詩を生み出す。散文にしろ詩にしろ、小さなものに焦点を合わせてヴァルザーの世界そのものを創り上げる。
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ヴァルザーにとって重要なのはオリジナルの真正さや神聖さではなく、記憶の確かさや描写の正確さでもなく、自らが物語を紡ぎ出すことができる着想やインスピレーションがあるかどうかなのだ。
目次
- ドーミエのデッサンに拠る
ディアズの森(草稿)
アンカー画集
オランピア
セザンヌ思考
ルノワール
ファン・ゴッホの絵
ファン・ゴッホ
ホードラーの山毛欅の森
画家カール・シュタウファー゠ベルンの人生の一場面
ビアズリー
『婦人像』
水彩画
訳者後書き
訳者略歴
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若林 恵(わかばやし・めぐみ)
東京生まれ。専門はドイツ語圏文学・文化。
現在、東京学芸大学教授。
著書:『カフカ事典』(三省堂、2003年、共著)、『スイス文学・芸術論集 小さな国の多様な世界』(鳥影社、2017年、共著)
訳書:『現代スイス短篇集』(鳥影社、2003年、共訳)、『氷河の滴―現代スイス女性作家作品集』(鳥影社、2007年、共訳)、 『ローベルト・ヴァルザー作品集』2巻、3巻 (鳥影社、2011年、2013年)、『日々はひとつの響き―ヴァルザー゠クレー詩画集』(平凡社、2018年)他。