価格
1540円(税込)
ページ数
180ページ
発行日
2020年12月27日
ISBN
978-4-86265-859-3
瑠璃
中澤美喜子
- 消費する欲望に安住していた瑠璃はある日、内奥にわく渇望に目覚める。
その欲望の成就であるはずの日、元同僚の謀略によってそれは阻まれる。苦悩の日々の後、辿り着いたのは、謀った相手を赦す、という場所と時間であった。再生してゆく中で、恋人と訪れたフィレンツェでの心揺さぶる絵画との出会い。瑠璃の中に新たなる息吹が吹き込まれる。
- 茫洋たる時の中で、点のような存在はこの世界の中で瞬く間に幻の如くになってゆくのだろう。それなのに、人は馬鹿なほど懸命に生き、そして感情というものに引きずられて生きている。何だってこんなに馬鹿なのか。その馬鹿さ加減に涙がこぼれる。けれども、それは社会の成り立ちゆえでもなく、法律でもなく、ただ、人が心を持ち、情というものがそうさせている。その中で人は愚直に生きる。そして、それがなければこの世界は壊されてゆくだろう。(本文より)
著者略歴
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中澤美喜子(なかざわ・みきこ)
長野県生まれ。
精密機器製造・輸出の会社の海外営業部に13年勤務。
米国電池会社(現P&G社)日本支社(新製品・新技術部)に10年勤務。
東京都在住。