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光と影 ハイデガーが君の生と死を照らす!
村瀬 亨
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今だからこそ考えてみる“生きるってことを”
ハイデガー『存在と時間』論を軸とした、生と死について考えるための哲学入門書。ハイデガーのみならず、西洋哲学、東洋哲学、宗教、そして文学、音楽、映画に至るまで、多岐に渡る文献、作品から言葉を引用し、ハイデガーの難解な哲学を入門者にも判りやすい形まで読み砕いた、河合塾の人気講師による解説書。 - 阿部公彦(東京大学教授)「ハイデガーは何度入門したってかまわない。また一つの入り口ができた。」
- 西村義樹(東京大学教授)「『存在と時間』を長年読み解いてきた著者が生と死について縦横無尽に思索を展開する異色の書。」
- 篠原俊吾(慶應義塾大学教授)「ハイデガーの声に耳を傾け、自分という存在について考える。本書は、私たちの傍らでそっとその手助けをしてくれます。」
- 福田耕治(早稲田大学教授)「良く生きることの意味と勇気を与えてくれる。」
- ジェームス・ドーシー(米ダートマス大学教授)「取っ付きにくいハイデガー哲学の世界への踏みいれやすい扉に溢れる、ありがたい本だ。」
- 解説・町田健(名古屋大学名誉教授、久留米大学附設中学校・高等学校校長)
- 死があるから生が輝く “生”と“死”の二刀流
目次
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はじめに
生と死を考える
死の形はどうあれ必ず訪れる
人間の誕生は偶然であり必然ではない
和歌にもハイデガーの時間性が見て取れる
第一章 『存在と時間』序論
存在の意味
現存在の「世界─内─存在」
世界の世界性
「現存在」の本質は「実存」のうちにある
第二章 現存在の開示性
「情態(Befindlichkeit)」
被投性(「現」へと投げられている)
従来の西洋哲学における「感情」
ハイデガーの「感情」の位置づけ
情態の一様態としての恐れ
現存在の不安という根本的情態性
「頽落」を手掛かりとしての不安の分析
現存在の存在としての「気遣い(Sorge)」とは何か
「気遣い(Sorge)」という概念の由来
理解としての現存在
「~のもとでの存在(sein-bei)」
理解していること(Verstehen)とは何かをなしうること
理解としての「投企」あるいは「企投」
被投的投企(投企)
「語り」と「言語」
共同相互存在としての「語り」
第三章 本来性と非本来性
非本来性としての「頽落」―日常的な様態としての「ひと」―
「ひと」の開示性のあり方
空談(おしゃべり)
好奇心
曖昧性
頽落の特徴
頽落の動性
頽落の旋回運動
ニーチェの永遠回帰
第四章 現存在の存在と死
頽落の宗教的背景
現存在の全体性と「死」
ハイデガーの「死」の定義
現存在の「全体性」
現存在の死
さし迫る死
他者の死
第五章 『存在と時間』の宗教的背景
アリストテレスの「ヘクシス」(状態)
クロノスとカイロス(瞬間)
キェルケゴールの時間と永遠―瞬間
通俗的瞬間とキェルケゴールの瞬間
ギリシアやユダヤにおける時間と永遠の関わり
キリスト教における時間と永遠の関わり
キェルケゴールの反復
ハイデガーの瞬視と反復
第六章 様々な時間の捉え方
時間論序言
アリストテレスの時間論
カントとヘーゲルの時間論
ベルクソンの時間論
ベルクソンの自由論
ハイデガーの本来性
第七章 死の思想史
西洋と東洋の死生観
西洋の死生観
ギリシア哲学者の死生観
反ハイデガー的な思想家たちの死生観
ハイデガーの「死生観」に大きな影響と方向性を与えた思想家
東洋の死生観
第八章 「死」との本来的な関わり方
死の可能性への先駆
死への先駆と決意
「先駆」はどのようになされるのか
フロイトのEs
ハイデガーのEs
スピノザとの類似点
第九章 カントとハイデガーの良心
公共性の捉え方
時間概念を通しての良心論
呼ぶ者と呼ばれる者の様態
「負い目」の概念と解釈
「負い目あり」の根拠=虚無性(Nichtigkeit
ユング心理学の視点から見た負い目ある存在とは
決意性(Entschlossenheit)
良心をもとうとする意志=決意性の構造
決意性=実存の真理
事物や他者との真の関わり
事物との真の関わり
事物との真の関わり―アリストテレスの場合の例
事物との真の関わり―読書の例
他者との関わり
決意性における状況
第十章 「無」について
「存在と無の共属性」について
仏教的な「空」の把握とハイデガーの「無」の概念
パルメニデスとヘラクレイトス
第十一章 時間性と歴史性について
本来的歴史性と非本来的歴史性
本来的歴史性
非本来的歴史性
第十二章 現存在の歴史性にもとづく歴史学
ニーチェの歴史観
歴史的人間と超歴史的人間の狭間にあって
歴史学についての三つの種類
記念碑的あり方としての歴史
骨董的あり方としての歴史
批判的あり方としての歴史
本来的な歴史学
第十三章 時間性の様態としての現存在
将来・既在・現在
将来
未来に希望をもつことの重要性
既在
アドラーとガダマー
現在
脱自態
時間性の脱自的あり方をテーマとした映画
おわりに
解説 町田 健
著者略歴
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村瀬 亨(むらせ とおる)
河合塾講師、河合文化教育研究所研究員。早大・東大大学院で国際政治を修め、ハワイ大学大学院へ留学したのち、岐阜教育大学&付属高校(現・岐阜聖徳学園大学)、神奈川大学などの講師を経て、河合塾専任講師となる。
主な著者として『Top Grade 難関大突破 英語長文問題精選』(学習研究社)、共著に『英語長文読解 読み方から解法まで [発展編] 』(河合出版)、『ENGLISH BOOSTER 大学入試英語スタートブック』(学研プラス)、訳書にウィリアム W・カウフマン著『1980年代の防衛』(カヨウ出版)など多数。
インターネット配信「学びエイド」で入試問題解説や各大学教授との対談を配信中。
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