HOME>ジョージ・セル ―音楽の生涯―
価格
4180円(税込)ページ数
622ページ発行日
2022年6月23日ISBN
978-4-86265-932-3-
書評・マスコミ掲載
週刊読書人で紹介
ジョージ・セル ―音楽の生涯―
マイケル・チャーリー 著 伊藤氏貴 訳
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世界最高のアンサンブルを打ち立てた大指揮者ジョージ・セルの生涯
知られざる天才少年時代からクリーヴランドでの栄光まで、膨大な一次資料と関係者の生証言に基づく破格の評伝が初翻訳!
(音楽評論家・板倉重雄) -
「セルは、世界のもっとも偉大なオーケストラしか持ちえないような音の成分の上にオーケストラを堅固に作り上げた。訓練の隅々まで行き届いたお互いのすばやい呼応によって音楽性がアンサンブル全体に浸透し、あらゆるパートで雄々しく輝かしい音が放たれる。まさしくクラッシックのオーケストラとしての技術とバランスの神髄である。……セルの権威、経験、趣味に匹敵する貴重な指揮者は今日ほとんどいない」
(ワシントン・ポスト紙の音楽批評家、ポール・ヒュームの発言) - セルの「英雄」の演奏に関してカーダスはこう書いた。「トスカニーニ以来、私はこのあらゆる交響曲の中でも最も偉大な作品が、かくもドラマチックな光に照らされ、かくもしっかりとした包括的なビジョンの下に探求し解き明かされたのを聴いたことがない」(本文より)
- ヘイワースは以下のような比較をした。「まじめに考えて、七十歳のジョージ・セルは、……中央ヨーロッパのあの偉大な世代の最後の生き残りであり、カラヤン・アンド・カンパニーは、そのすべての業績をもっても太刀打ちできない……」(本文より)
目次
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まえがき
序
第一章 モーツァルトの再来(一八九七〜一九二九)
思春期の天才
作曲家から指揮者へ
導き手としてのリヒャルト・シュトラウス
ウィーン歌劇場の陰謀
歌劇場の階段を登る
第二章 指揮者は翼を広げる(一九三〇〜三八)
セントルイスのヨーロッパ人(一九三〇〜三一)
セントルイスのセルの思い出
オランダ、イングランド、スコットランド(一九三一〜三七)
激動する世界
スコットランド、ハーグ、そしてトスカニーニ(一九三七〜三八)
スコットランドでの結婚
プログラムを組む
セルとトスカニーニ
第三章 オーストラリアにおける音楽の開拓者(一九三八〜三九)
別の課題
ヨーロッパにおける間奏
セルのオーストラリアでの二度目のシーズン
オーストラリアへのお別れ
第四章 新世界、新たなはじまり (一九三九〜四六)
セルの個人的な側面
セルとメトロポリタン歌劇場
ボストンにおける啓示
本拠地のオーケストラ
第五章 クリーヴランド 競争と契約(一九四二〜四七)
競 争
セルの征服
オーケストラの目標
無比の存在
征服者としての英雄に対する歓呼
セルのクリーヴランドでの最初のシーズン
仕事のはじまり―オーケストラを鍛える
音楽監督としてのセルの最初のコンサート
グラインドボーンの狂気
第六章 セル、オーケストラを作る(一九四七〜五四)
セルの二度目のシーズンの後
新しい契約
交叉点で
セルの四番目のシーズン
三年契約
若い指揮者が重要な役を演じる
クリーヴランドでの安定性―セルの六回目のシーズン
ニューヨークフィル・ハーモニックの里程標
セルのシャトル外交
レーンの昇進とリングウォールの降格、親代わりのセル
あまり穏やかでない夏
お祝いのシーズン
第七章 ジョージ・セルとルドルフ・ビング(一九五三〜五四)
第八章 約束を守る―「無比の存在」(一九五四〜五七)
プログラムを前進させる
休日のセル
セルの十回目記念となるシーズン
ニューヨークフィル・ハーモニックの中断
合唱の夢かなう
勝利―クリーヴランドをヨーロッパへ
ヨーロッパツアーの被害者
オランダでの事件
セルの一九五七年のヨーロッパの夏。クリーヴランドの変化
第九章 黄金時代(一九五七〜六五)
四十周年記念シーズン 一九五七〜五八
セヴェランス・ホールの新しい音
アムステルダムでの幕が下りるが、ニュー・アムステルダムで再び幕が開く
ピエール・ブーレーズが話題になる
広範囲にわたる機会
悪名高いサンフランシスコのいざこざ
アメリカ音楽の力
セルにとっての認識
一大ツアーの詳細が発表される
大地震
ピエール・ブーレーズのクリーヴランド・デビュー
第十章 世界の中のクリーヴランド管弦楽団(一九六五〜六八)
ソビエト連邦とヨーロッパツアー、一九六五年
静かな、しかし実り多き夏
セルの将来に目を向ける
地元での栄光
一九六六年の二度目の西部ツアー
クリーヴランドでの暴発
一九六七年の三つのヨーロッパの音楽祭へのツアー
オーケストラ内部の紛争
一九六七〜六八年、五十周年記念シーズン
第十一章 本拠地での夏
野外の気候を調整する
第十二章 フィナーレ
クリーヴランド、日本、韓国、アンカレッジ、
クリーヴランド(一九六八〜七〇)
ニューヨークフィル・ハーモニックのアドバイザー
不吉な予兆
セルの最後のツアー、一九七〇年
エピローグ
セルの言葉
年 譜
訳者あとがき
人物索引
付録 A シューマン生誕一五〇年記念に
付録 B クーラス基金とスタッフ
付録 C 見習指揮者資格
付録 D 一九五七 ヨーロッパツアー(レパートリー)
付録 E 一九六五 ヨーロッパツアー(レパートリー)
付録 F セルのレパートリー
ディスコグラフィー
ノート
著者略歴
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マイケル・チャーリー(Michael Charry)
指揮者。1933年、ニューヨークに生まれる。
オーボエをロバート・ズプニク、指揮をピエール・モントゥーやジョージ・セルに学ぶ。
オバーリン大学を経て、ジュリアード音楽院で学士号と修士号を取得。
セルの下で、クリーヴランド管弦楽団の副指揮者をつとめたのち、
ナッシュビル交響楽団の指揮者、音楽監督を経て、マネス・オーケストラの音楽監督などをつとめる。
訳者略歴
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伊藤氏貴(いとう うじたか)
1968年生まれ。文藝評論家。明治大学文学部教授。
麻布中学校・高等学校卒業後、早稲田大学第一文学部を経て、日本大学大学院藝術学研究科修了。博士(藝術学)。
2002年に「他者の在処」で群像新人文学賞(評論部門)受賞。
著書に、『告白の文学』(鳥影社)、『奇跡の教室』(小学館)、『美の日本』(明治大学出版会)、『同性愛文学の系譜』(勉誠出版)など、
訳書に、『塹壕の四週間 あるヴァイオリニストの従軍記』がある。
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