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価格
1980円(税込)
ページ数
382ページ
発行日
2021年12月16日
ISBN
978-4-86265-933-0
渋沢栄一と社会事業 社会福祉の道を拓いた「養育院」樹立の半生
武井 優
- 「近代日本経済の父」の知られざる人間像
「社会事業家」としての素顔がここに甦る
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渋沢が実業家として携わった企業は約500といわれているが、教育や国際交流を含めた社会事業の数は約600に及ぶ。時間としても、実業家44年、社会事業家58年であり、中でも生活困窮者に手をさしのべた「養育院事業」は彼のライフワークとなった。本書は命の平等を尊んだ渋沢栄一の知られざる実像に迫る感動の書である。
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国の繁栄と人々の幸福を願いつづけた栄一の献身と忍耐。その胸に燃えたぎる理想なくして「養育院」ならびに社会事業の成長と発展を語ることはできない。生涯を賭けて国を思い、人々を愛した「渋沢栄一」の真心の結晶をそこにみる思いがする。(本文中より)
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青年時代から標榜してきた官尊民卑の打破を体現して形づけたのが社会事業であり、栄一にとっての人間の平等観の象徴が養育院であった。直接人々とふれ合って創出した共生社会。そこに社会事業家として生きた「渋沢栄一」の真の偉大さをみるのである。(本文中より)
目次
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序章 人物スケッチ
Ⅰ 郷里 編
第1章 深谷血洗島村
渋沢宗家 元助と栄の結婚 家庭環境 恵まれた生育環境 父親の情愛
第2章 農民の子
家業に専念 家族と地域 封建社会への疑問 尊王攘夷と出奔
Ⅱ 立身 編
第3章 幕臣と欧州
一橋家 「近代」を吸収 パリの地 帰国
第4章 華麗なる転身
白羽の矢 大蔵省官吏 抜群の能力 西洋式簿記のトラブル 退官の決意
Ⅲ 救済(福祉)事業の夜明け 編
第5章 上野に建つ養育院
町会所七分積金 養育院設立の新風 救貧三策 露国皇子の来朝
加州邸(元加賀藩邸)に保護 浅草溜から上野へ 養育院の始動
第6章 非凡と先見の明
子ども観 頼りない教育観 東京会議所解散 商法講習所廃止
第7章 苦悩のどん底
養育院廃止 私営で復活 養育院婦人慈善会
Ⅳ 社会事業家への途 編
第8章 憲忠と二人三脚
憲忠の足跡 新幹事安達憲忠 岩子の養育 浮浪少年の調査 移転準備
第9章 感化事業の起動
窮児悪化の状況 感化事業への挑戦 旺盛な研究心 感化部失敗
井之頭学校の設立
第10章 若い事業家を育成
尊敬の眼差し 若者に道を拓く 日常の素顔 多彩な女性関係
寄附金と社会還元
第11章 ハンセン病と隔離
顕微鏡の衝撃 在院者の生活 医師光田健輔 院内の工夫
隔離への一歩 らい予防協会
Ⅴ 現代への布石 編
第12章 礎いしずえの確立
中央慈善協会会長 分類収容 安房勝山 巣鴨分院 板橋分院
第13章 失意と再生
憲忠の退職 養育院長をやめる 新幹事田中太郎 関東大地震
蘇った養育院
第14章 喜びを噛みしめる
事業の成果 君たちの「父」 子どもの成長の姿
第15章 永遠の眠り
最後の言葉 惜別の辞 太郎の死
あとがき
著者略歴
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武井 優(たけい ゆう)。ノンフィクション・ライター
高知県生まれ。新聞社嘱託記者、雑誌記者を経たのちルポライターに。不登校・家庭内暴力・自殺・虐待・実親に育てられない子ども等の「社会問題」を中心に教育・児童福祉・家庭の現場を歩く。新聞、週刊誌、雑誌に子どもの殺害事件などを執筆。編集プロダクション(有)オフイスダンを設立。当社を基盤に子どもの問題をテーマにしたフォーラム『ファムケーション』を主宰。「第七回ファムケーション」ではオランダ日系二世を招いて「命をありがとう」のテーマで、戦争中インドネシアにおいて現地女性と日本の軍人・軍属との間に産まれた子どもたち、現在六〇代になった方々の「父親捜し」の辛い胸中を訴えた。著書に『子どもの心とどう向き合うか』(徳間書店)『他人が子どもを育てるとき』(かもがわ出版)、『龍馬の姪岡上菊栄』『おばあちゃんはここぞね』(鳥影社)、『オランダからの白い依頼状』(現代書館)等多数。
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