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『雪が降るまえに 』アルセーニー・タルコフスキー 著 坂庭淳史 訳 アルセーニー・タルコフスキー(1907─89)は、二十世紀ロシアの詩人。じつは『惑星ソラリス』『鏡』などの独自の映像美に満ちた作品で知られる映画監督アンドレイ・タルコフスキーの父である。しかし、彼は彫琢された言葉と雄渾な宇宙観をもつ詩人でありながら、これまで日本では本格的な紹介がなかった。本書はその知られざる大詩人の、初めてのまとまった訳詩集だ。「僕は人間だ、僕は世界の真ん中にいる、/僕の後ろには無数の滴虫類、/僕の前には無数の星たち。」「逢瀬のひとつひとつの瞬間を、/僕らは祝ったものだ、神の顕現のように。」といった詩的ヴィジョンに満ちた詩行を読むと、ロシア詩のすばらしい伝統がソ連時代にも守られていたことを改めて思わされる。(充) |
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