価格
2420円(税込)
ページ数
224ページ
発行日
2013年10月5日
ISBN
978-4-86265-416-8
語りの多声性:デーブリーンの小説『ハムレット』をめぐって
長谷川 純
- 物語を〈語る〉という行為、物語を〈読む〉という行為、そのどちらにとっても魅力的なテクストがデーブリンである。ここにしかないものは何かを著者は読みといていく。
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読後に残る奇妙な割り切れなさは、われわれを、繰り返しテクストに駆り立てる。読むほどに、さまざまな読み方ができるようなテクストをわれわれはどう読めばよいのかという問いもわれわれを離さない。本論ではこのテクストを、〈語る〉という行為を中心に総合的に解釈し、あわせて、その解釈の前提となるモデルや、読書行為自体の構造に関わるテーゼを提示してみたい。(本書より)
目次
- Ⅰ 解釈学的前提
Ⅱ 小説『ハムレット』成立史と研究史概観、及び先行研究
1.成立史
2.研究史概観
3.先行研究―本論のテーマとの関わりから
Ⅲ 登場人物─語りと経験
1.何がいかに語られているか
2.エドワード・アリソン(Edward Allison)
3.ゴードン・アリソン(Gordon Allison)
4.アリス・アリソン(Alice Allison)
5.ジェームズ・マッケンジー(James Mcckenzie)
6.キング医師(Dr. King)
7.キャスリーン・アリソン(Kathleen Allison)
8.アノニムな登場人物としての語り手
Ⅳ 語り手、読者
1.「感染しない語り手」と情動
2.コロスのような語り手と最終章
3.語りの多層性と読者
4.語り手の言説
Ⅴ 作者
1.「彼の(そして私の)物語」─次男ヴォルフガングの死と家族関係をめぐって
2.『われわれの気がかり、人間』(Unsere Sorge Der Mensch)との関連
あとがき
主要文献目録その他(一次文献及び主要二次文献、略語等)
著者略歴
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長谷川純(はせがわ・じゅん)
1957年東京に生まれる。
1983年上智大学大学院文学研究科(ドイツ文学専攻)博士前期課程修了。
ルール大学、ボン大学に学ぶ。
2012年上智大学大学院文学研究科(ドイツ文学専攻)博士課程修了。
博士(文学)。外資系企業勤務を経て、現在、日系企業グループにて「語りと経験」をテーマに、人材育成に携わる。