
価格
1650円(税込)
ページ数
238ページ
発行日
2014年10月2日
ISBN
978-4-86265-470-0


流れ島
岩崎芳生
- 海から野そして山へ、流れゆくものの哀感がおりなす短編世界。濃密な文体によって読み手の内に差し込むものは、夢とも現ともつかぬ生を凝視する作者の眼差しである。そこに此岸と彼岸を往還する独自の文学的世界が立ち現れる。読者は本書を通して、3.11以降を生きる我々の立ち位置というものに、改めて気づかされるだろう。
-
私だって「人は死ねば死にきり」という今日を生きている。それでも一方に、自分一つの精神の内にも、夢でも現実でも解らないことだらけだ、という世界が沈むのを思わないではいられない。しょせん、見たものを語る以外にないらしい。(「岬」より)
目次
- 二つのこと
岬
バーグマンの島
メランコリア
流れ島
青 崩(あおくずれ)
橋の日
タロッコ
夕日の戸
初出一覧
あとがき
著者略歴
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岩崎芳生(いわさき ほうせい)
1936生。
日本ペンクラブ 静岡県文学連盟所属。
同人誌「静岡作家」「隕石」「椅子」を経て、現在「燔」同人。
文芸誌「すばる」「作品」等に作品を発表。
著書に
「隠国」
「橋の眺め」
「水舟の空」
「酷月(こくづき)」
「評伝 海野光弘」
がある。
静岡県静岡市在住。平成九年静岡県文化奨励賞。