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ヘルダーのビルドゥング思想
濱田 真
- ヘルダー像の刷新 Bildungというドイツ語は「教養」や「教育」という訳語をはるかに越えた意味の奥行を持つ。この言葉を手がかりにヘルダー思想の核心に迫る。
- これまでヘルダー思想は各専門分野の視点から一面的に解釈されてきた。本書はヘルダーにおける知の領域横断的な多面性を明らかにして、従来の偏ったヘルダー像の修正を目指す。
目次
-
凡 例
序論
1 ヘルダーの影響力
2 ヘルダーの受容の問題点
3 最近のヘルダー研究の特徴
4 本書の目的・方法
補論一 ビルドゥング概念の歴史
第一部 人間学
序 ヘルダーの人間学構想
第一章 「人間の使命」をめぐる問題
1 シュパルディングの『人間の使命』
2 「人間の使命」についてのアプトとメンデルスゾーンの解釈
3 ヘルダーの人間学?身体と精神の位置づけを中心に
第二章 中間存在としての人間
1 「存在の連鎖」と人間
2 カントとヘルダーにおける「中間者」としての人間像
3 ラーヴァーターの『観相学断片』
4 ヘルダーのラーヴァーター批判
5 むすび
第三章 感性論
1 『存在についての試論』
2 カントとヘルダーの存在理解
3 感性の暗さ
4 情動の論理
5 遡源的・生成的方法
6 空間、時間、力
補論二 クリスティアン・ヴォルフのビルドゥング論
第二部 言語
第四章 言語論
1 ゴットシェートの言語論
2 『言語の学習について』におけるヘルダーの言語論
3 『言語起源論』における「起源」の問題
4 『言語起源論』における言語と自然
5 言語における二重性
6 ゴットシェートとヘルダー
第五章 神話論
1 ヘルダーの神話論の位置
2 啓蒙主義期の神話論
3 ヘルダーにおける啓蒙主義神話論の受容形態
4 むすび
第六章 作家・読者論
1 『近代ドイツ文学断想』における作家と読者の位置づけ
2 『批評の森』における「批評」(Kritik)と「森」(Walder)
3 文芸的公共性とビルドゥング
第三部 歴史哲学
第七章 歴史における連続と断絶
1 イーゼリンの『人類の歴史』
2 ヘルダーの『人間性形成のための歴史哲学異説』
3 歴史主義の解釈学
第八章 アナロジー
1 カントの『イデーン批評』
2 ヘルダーの認識論
3 ヘルダーのアナロジー思考の思想的基盤
第九章 形態学としてのヘルダー歴史哲学
1 一七八〇年代のヘルダーとゲーテ
2 ゲーテ形態学における原型とメタモルフォーゼ
3 歴史の形態学
結 語
1 「非合理主義者」としてのヘルダー像
2 ビルドゥング思想の多面性
3 ビルドゥング思想の基盤
4 終わりに
あとがき
文献一覧
人名索引
著者略歴
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濱田 真(はまだ まこと)
1962年生まれ。
慶應義塾大学文学部ドイツ文学科卒業。
ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生としてドイツ・ケルン大学留学。
慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程ドイツ文学科単位取得退学。
現在、筑波大学人文社会系教授、日本ヘルダー学会理事、国際ヘルダー学会(IHS)会員。
文学博士(筑波大学)。
専門分野は近代ドイツ文学・思想。
主要著書・論文
『ドイツロマン主義研究』(共著、御茶の水書房、2007年)
「ヘルダーの民謡収集の思想的基盤 年齢説、起源論、パリンゲネジー論」
(日本ヘルダー学会『ヘルダー研究』第17号、2012年)他。
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