価格
1980円(税込)
ページ数
334ページ
発行日
2018年9月19日
ISBN
978-4-86265-696-4
ディアスポラ、高麗への道
岩下壽之
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若光(じゃっこう)よ、霧の七国峠を越えろ。新たな高麗(こま)の里がそこにある。
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今、歴史と「私」を運命の糸がつなぐ
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高麗王 若光は果たしてモーゼたり得たか。
“ディアスポラ”を軸に、古代と現代、夢と現実を交錯させ、歴史と「私」をつなぐ運命の糸を明かした異色の私小説風歴史小説。
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シベリア抑留は現代における「バビロンの捕囚」だった。古代のユダヤ人たちはこの捕囚から解き放たれてディアスポラとなった。帰るべき祖国がなかったからである。同じように、千年後の東アジアでは、百済人や高句麗人が故国を失って海を渡って列島に押し寄せた。勝者である新羅人もやって来たが、彼らは移住者であって亡国の民ではない。ディアスポラとはあくまで故国を持たない人々で、この点で難民とも違うのである。
(本文より)
目次
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1 韓神宮
2 臨死体験
3 高麗王廟
4 唱歌「故郷」
5 荒船山
6 老人ホーム
7 三合里収容所
8 姫龍神
9 高句麗
10 七国峠
11 「湾生回家」
12 建郡一三〇〇年
13 井 月
14 朝の憂鬱
15 武蔵路
16 上野国
17 高麗王若光
18 卒 寿
19 高麗郡建郡
20 隠れ家
21 同胞援護婦人聯盟
22 長寿王
23 高麗福信
24 女影廃寺
25 上野三碑
26 埋蔵文化財センター
27 望 郷
28 まや霊園
29 御殿山古窯跡群
30 大 磯
31 『異郷こそ故郷』
32 武蔵国府跡
33 武蔵国分寺跡
34 大 連
35 ディアスポラ
36 常 世
著者略歴
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岩下 壽之(いわした としゆき)
1939(昭和 14)年、大阪府豊中市生まれ。
幼年期を中国・大連市で、少年期を長野県佐久市で送る。
東京教育大学(現・筑波大学)文学部卒。
都立高校教員を経て、 2000(平成 12)年から5年間、中国の大学で日本語教師を務める。
東京都八王子市在住。
著書
ノンフィクション
『大連だより― 昭和十六~十八年・母の手紙』(1995 年、新風舎)
『大連・桃源台の家― 昭和十九~二十年』(1997 年、新風舎)
『大連を遠く離れて― 昭和二十一~二十三年』(1998 年、新風舎)
以上の〈大連三部作〉で「第17回山室静 佐久文化賞」を受賞。
小説〈遣唐使三部作〉
『井真成、長安に死す』(2010 年、鳥影社)
『円載、海に没す』(2013 年、鳥影社)
『定恵、百済人に毒殺さる』(2015 年、鳥影社)