くたかけ
小池昌代
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海辺の町に暮らす三世代の女たち。
一家にからみつく奇妙な男。
男の持ち込んだ三羽の鶏。
彼は宗教者か犯罪者か。
家族のねじが狂い始めて。
―ゆるやかに解体される家族の物語。
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おとうさん、おかあさんのいないせかい
じゆうで、ひろびろとして、あたまのうえに真っ青な空がある
好きなところへ、いつでもいける
かえってこなくていい
死んでしまってもいい
もうだれも、ほんきでわたしを待っていない
- 季刊文科連載作、待望の単行本化!
目次
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1 麦と佐知
2 蟹が泡を吹く
3 赤ネズミ
4 帯の声
5 運動会
6 芋 虫
7 ダルマさんが転んだ
8 嵐と留年
9 朝のバロック
10 柴山さんの絵
11 なんで生まれてきたの
12 鶏小屋
13 なをという名前があります
14 存在の底の砂
終章 くたかけ
著者略歴
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小池 昌代(こいけ まさよ)
詩人、小説家。
1959年東京都江東区生まれ。
津田塾大学国際関係学科卒業。
詩集に『永遠に来ないバス』(現代詩花椿賞)、『もっとも官能的な部屋』(高見順賞)、『夜明け前十分』、『ババ、バサラ、サラバ』(小野十三郎賞)、『コルカタ』(萩原朔太郎賞)、『野笑 Noemi』、『赤牛と質量』など。
小説集に『感光生活』、『裁縫師』、『タタド』(表題作で川端康成文学賞)、『ことば汁』、『怪訝山』、『黒蜜』、『弦と響』、『自虐蒲団』、『悪事』、『厩橋』、『たまもの』(泉鏡花文学賞)、『幼年 水の町』、『影を歩く』、『かきがら』など。
エッセイ集に『屋上への誘惑』(講談社エッセイ賞)、『産屋』、『井戸の底に落ちた星』、『詩についての小さなスケッチ』、『黒雲の下で卵をあたためる』など。
絵本に『あの子 THAT BOY』など。
編者として詩のアンソロジー『通勤電車でよむ詩集』、『おめでとう』、『恋愛詩集』など。
『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集02』「百人一首」の現代語訳と解説、『ときめき百人一首』なども。