価格
3520円(税込)
ページ数
578ページ
発行日
2016年9月5日
ISBN
978-4-86265-538-7
中上健次論〈第3巻〉 幻想の村から
河中郁男
- 谷川雁の思想を媒介として「路地」という「幻想の村」=「原始共同体」から日本社会の重層性を浮かび上がらせた中上健次の作品を読み解く。
〈『千年の愉楽』から『異族』まで〉
- オリュウノオバを西田哲学の体現者として論じた『千年の愉楽論』、昭和の右翼思想を読むことによって、戦後思想を右翼/左翼/新右翼の三代の系譜として論じた『異族論』など。
-
『中上健次論〈第1巻〉』はこちら
『中上健次論〈第2巻〉』はこちら
目次
-
序 章 方法としての村
(1)まずはじめに
(2)「東京」対「地方」
(3)帰って行く村
(4)村から見ること
(5)都市との対決・あるいは吉本隆明との対決
(6)六○年安保の総括
(7)『固有時との対話』から『転位のための十篇』へ
(8)「欲求」なき「自己」と「自己」なき「欲求」
(9)『日本の二重構造』について
(10)村の消滅・あるいはグローバリゼーション
(11)「幻想の村」=「方法としての村」
第十五章 『豊饒の海』論
(1) どのように『千年の愉楽』を読むのか
(2)四方田の『貴種と転生』における三島/中上論
(3)四方田の三島/中上論の検討
(4)『豊饒の海』の枠組み
(5)『春の雪』論
(6)『奔馬』論
(7)『暁の寺』論
(8)『天人五衰』論
第十六章 『千年の愉楽』論
(1)『千年の愉楽』の枠組み
(2)『半蔵の鳥』論
(3)『六道の辻』論
(4)『天狗の松』論
(5)三島的天人と中上的天人
(6)『天人五衰』論
(7)「オリュウノオバ」
(8)「本多繁邦」と「オリュウノオバ」
第十七章 女たちの物語
(1)女たちの物語を読む
(2)女たちの物語の原型
(3)『鳳仙花』
(4)『紀伊物語』=『大島』
(5)『重力の都』
(6)『軽蔑』
(7)ユング・フロイト・ラカン
第十八章 路地を失った世界
(1)『地の果て 至上の時』/『千年の愉楽』以後をどう読むか
(2)『奇蹟』
(3)『日輪の翼』
(4)『讃歌』
(5)『火まつり』
(6)『十九歳のジェイコブ』
(7)「路地を失った世界」とは何か?
第十九章 『異族』論
(1)未完の小説について
(2)『異族』の内容
(3)『異族』の評価
(4)天皇制とは何か?
(5)新思想としての天皇
(6)右翼思想とは何か?
(7)戦前の右翼における天皇について
(8)元型としての辛島 ──武田泰淳
(9)三島由紀夫的「右翼」──武田泰淳への応答として
(10)大江健三郎にとっての「右翼」──三島由紀夫への応答として
(11)『異族』の基本的な要素
(12)タツヤにとって「右翼」となること、そして「天皇」──大江健三郎への応答として
(13)「槇野原」/「ミドリカワ」/「タツヤ」
(14)「連合赤軍事件」あるいは、「浅間山荘事件」/「リンチ殺人事件」
(15)三つの死について
(16)「右翼」をやめること