ウォッチクリスタル

天川美彩

ウォッチクリスタルを額に埋めこまれた二人は、死後の世界から４８日間とく期限付きで人間界に戻る。しかも二人の身体と魂は入れ替わった状態で！
弱者とは、強者とは、なにかを問う

宇都宮水路迷宮

諸橋孝一

巨大な地下空間、地上と地下を二重に流れる水路。特異な景観と失跡した男の謎が絡み合い、読む者をいつしか暗闇のミステリー迷宮に…。男の妻をめぐる衝撃のラストは現代を鋭く照射している。

青葉と葦

阿久澤連

昭和３０年前後の東北地方の中核都市Ｓ。戦災の跡をとどめる埃っぽいバラック模様の街で学生時代を送った者たちのうらぶれた青春へのささやかな挽歌。

原拓夫

まだ生きています
ホープレスディジーズ（不治の病）といわれる脊髄小脳変性症。どんな病でも豊かな過去があれば、希望を持って現在を生きることが出来る。

ジャカランダ

山本彩冬

異文化と対峙した女性の日常を鮮やかに切りとった表題作他現代女性の生き方をやわらかなタッチで描いた小説集

大石恭平

蔵に住む年若いお手伝いさんと少年の交流を描いた表題作をはじめ、さまざまな人生の機微をとらえて秀逸な七篇の小説。

ミミの遁走

小諸悦夫

もし、“こいつ”が我が家にきていなかったら……
「ミミの遁走」他二篇の小説作品集

複雑な予感

山田昌功

私は見た…………見たのだ…………ヒーローが引き絞められた弓から弾かれるのを物語が鬱勃とした禍の森の中で道を喪うのを私は聞く…………聞くだろう…………せせらぎが穿った岩の中虚を行く人の足音を円い穴の向こうの仰ぎ見る星々が語る物語を

日本から、旋風！

岩下壽之

“ジャパノロジー”が結ぶ人と人の絆中国の女子大生の視点から、日本人教師との交流を描いた異色の小説。著者の体験をもとにした、知的で温かな異文化交流への期待。

鳴神朗

僕の苦労なのでしょうか。大地の重力を感じ風景に見えぬ心の縦の線がたくさんあってその線で僕は対話を運んだり映りと深まりと心でつかんでいる。

レイモンド・泰孝

この世はあの世か？
生者と亡者、過去・現在・未来が瞬時に入れかわり、さながらメビウスの輪の上を疾駆しているような、新感覚の怪奇小説。

小原優

作中人物がさまざまなものに変異する恐くて奇妙な味わいのある短編集
日常と非日常の境界はぼやけはじめ読む者は未知の世界へいざなわれる

小説 紫式部

三好京三

─新王朝絵巻第二弾─
不朽の名作「源氏物語」の作者が直木賞作家の手によって等身大の女性として鮮やかに蘇る

村田武

消えた北陸王朝と落城の秘話尊氏の挙兵により新政に失敗した後醍醐天皇は、気比神宮の縁を頼りに越前へ向かう恒良親王に密かに譲位。天然の要害・金ヶ崎城に束の間の王朝が生まれた。この知られざる史実をもとに、大義のもとに壮絶な戦いを生きた人々を描く。

書評

コモダコウジ

幸せ？
幸せなはずの夫婦性格にいつのまにか生じる亀裂。愛と欲望が織りなす複雑な文様……。4人の男女の運命的な出会いと別れを描く。

本郷純子

古代王朝を舞台に激しい権力
闘争に翻弄される人々に姿を万葉の調べにのせて格調高く描く表題作他三篇の歴史小説

三島佑一

大阪府立北野高校の校庭で、二生徒が爆死した。そのことをもとにフィクションを組み立て、罪の意識を追求して、清澄な倫理観に昇華した感動的力作

杉浦栄次郎

旋律が流れるとき、その脳は砕け散る。
醜悪な社会の落とし子の完全犯罪に全てを奪われた男が挑む、衝撃の復讐劇。

鈴木こうはく

人間、ひと皮むけば！？
３億円強奪に成功した犯人がたどった栄光と破滅への道。

山川光子

黒い打掛に狂気を包み、緋のマントを好んだ革命児信長の美学に、狂的エネルギーを投影した土田御前。